『ペットフード』
「雨哥、聞け!」
「イヤ!」
「雨哥!」
タキが雨哥の方を両手で強く掴む。
タキのても震えていた。
そして、タキは泣いていた。
タキが泣いている。
涙が頬に伝っている。
泣いているんだ。タキが。
「タキさん…」
雨哥の目の中の光にタキが映る。灯った。
「お前は…雨哥は琉羽の事を愛してるんだろ?琉羽は死ぬ覚悟でここまでの事をしたんだ!」
「愛してるんだろ?」
その問いに、雨哥は頷いた。
それだけは確かだから。ユルガナイカラ。
「それなら信じろ。大丈夫だ。信じるんだ。雨哥、琉羽の気持ちに応えるんだ。私にも見せてくれ。雨哥」
タキも見たいんだ。
雨哥なら見せてくれると信じている。
だからここまでの事が起きたんだ。
「大丈夫」
その言葉をタキも信じている。
そして続けた。
「琉羽、琉羽は雨哥に血を飲ませると言ったけど、お前にも雨哥の血を証明してもらう」
タキはそう告げると、琉羽へと視線を移した。
「でも、雨哥の手や体に傷をつけるのは」
「いいよ。そんなの。大丈夫。証明…一緒にしよう」
琉羽は少し考えた後、「分かった」と頷いた。
「2人に証明をしてもらう。その結果でどうするか決める。まずは、証明してくれ」
タキの言葉に2人は頷いた。
タキも頷いた。
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