(更新停止)時の狭間
シオンさんの細い背中越しに、黒髪の小さな子どもがひょこりと現れた。
にこっと笑ったその子は、6才くらいだろうか。
人懐っこい笑顔で、先ほどまでの緊張の糸は解れた気がした。
それを悟られぬように、とっさに笑顔を取り繕う。
「はじめまして。」
その子の目線に合せようと膝を折り、屈んだ。
近くで見るとさらさらの黒髪に自然と目がいって。
何か、ぼやけた不鮮明な映像が一瞬だけ頭を過ぎった。
「(あれ、どこかで見たこと…。)」
懐かしい、と言うのだろうか。
どこかで見たような、そんな気がして。
なかなか目が離せない。
「ねぇ、もしかして私とキミって、知り合いだったのかな?」
確信のある問いだった。
生きていた頃のことを覚えていない私だから、どんな関係だったのかは分からないけれど。
ただ、知り合いだったことは間違いないと思う。
するとその子どもは何か驚いたように目を見開いた。
「っ、! どうしてここに…っ!?」
その子は小さな手で私に縋りついて。
瞳は信じられないものを見るように絶望の色を映していた。
「分かるでしょう。」
シオンさんの声。
それは静かに咎めるように響いて、小さなその子は肩を落として泣き崩れる。
なにがなんだか分からない私は、ただその子の背中をさすることしか出来なかったのだった。