最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
一連の事情を聴き終えた桐葉さんは、驚いたり戸惑う様子もなく普段通りに冷静沈着に落ち着きを払っていて、また『なるほどな』と事態を飲み込んでいるよう。
それから彼は、フッと微かに口角を上げて悪戯に笑みを浮かべながら言う。
「桜林が新郎をか……強ち間違ってないかもしれないぞ」
「え、ちょっと本気で言ってます?」
「前例はなくても、しないって保証もない。仮に、もしそうなら前代未聞だが」
この人が言うと冗談に聞こえない。根拠があって言っているのかはわからないけど、桐葉さんがこんな事を冗談めいて言う人にも思えない。
もしかして私と同じ考えを持っていた? やっぱり彼も、例の飲みの席での茉莉愛ちゃんの言動が不審だった事と関係しているのかもって。
「今日の夜にでも俺から彼女に連絡してみる。上司としては体調も一応気にする必要もあるしな」
”上司として一応”と言ってるあたり義務感を感じる。その言葉の奥に『俺個人としては気になっていないが』と悟ってしまったのは、私の考えすぎかもしれないけど。
事態が収拾するまでは相談元の2人の担当は私が代わりに努める事を桐葉さんに伝え、私は式場、彼は事務所へとそれぞれ別れた。
茉莉愛ちゃんの件もだけど、私自身の仕事も諸々多く今月は忙しい。だから桐葉さんが引き受けてくれるのは助かるな……なんてホッとしていたのも束の間。