エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
「え……紅葉様? どうしてここに……」

 呆然とする木嶋さんに、私は居ても立っても居られず駆け寄った。

「本当なんですか? 久次さんのお父さんが脱税に殺人容疑まで……! それも木嶋さんのお父さんをだなんて」

 信じたくないけれど、三人の困惑した様子を目の当たりにして事実なのだと痛感する。

「えっと、静馬。今さらだけど、こちらがお前の護衛対象の紅葉様でいいんだよな?」

 ふたりのうち、最初からいた男性が尋ねると木嶋さんは「あぁ」と答えた。

「そうか、事情を知られてしまった以上、彼女にもぜひ協力してもらうほうがいいだろう」

「なに言って……っ! 紅葉様を巻き込むつもりはない。どれだけ危険なことかお前もしっているだろ!?」

 声を荒らげる木嶋さんに、ふたりは目を見開いた。

「静馬のそんなに取り乱しているところ、初めて見た」

「俺も。どうやら紅葉様は静馬にとって、特別な存在のようだ」

 意味ありげなことを言ってほくそ笑むふたりに、木嶋さんはどこかバツが悪そうに「紅葉様の前で変なことを言うな」と言う。
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