エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 いつものように朝、「行ってきます」と言って出勤していった父は、見るも無残な姿で家に帰ってきた。

 愛妻家でもあった父に愛されていた母は、父が亡くなったという現実を受け止めることができず、四十九日を終えた日に自殺した。

 両親を失った悲しみに暮れる間もなく兄は父の後継に立ち、若き社長の誕生を快く思わない重役たちの反発を押しのけて、今では誰もが認める大企業のトップだ。

 兄もまた父の遺志を受け継ぎ、従業員を大切にする人だった。社員からは慕われ、取引先との関係も良好。

 それなのに兄もまた父同様、何者かに命を狙われていた。

 父の殺人事件は、思わぬかたちで幕を閉じた。発見された犯人の男はすでに自殺しており、遺書によって犯行を自白したのだ。

 それが決定打となり、被疑者死亡のまま書類送検された。

 しかし俺も兄も、その男が犯人だとは信じられなかった。うちの会社の従業員でもなければ、ライバル企業の社員でもない。
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