エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
「ふふ、ありがとう。じゃあ退院日にはお父さんが好きな物だけを作ってあげるね」

「それは楽しみだ」

 笑顔の父につられて私も頬が緩む。

 退院する日がわかったら、すぐに材料を買いに行かないと。

「久次君も紅葉の料理はうまいって言っていただろ?」

「えっ?」

 なにを作ろうか考えていた時に聞かれ、言葉に詰まる。

「どの料理を作ってやったんだ? まぁ、どの料理でも久次君はおいしいって言ってくれるだろうが」

 確信を持ってうんうんと首を縦に振る父には、久次さんに手料理なんて振る舞ったことはないし、なにより彼は結婚後も料理はプロに任せればいい。素人の作る物は食べたくない人だとは言えそうにない。

「えっと……たくさんあって忘れちゃった」

「そうかそうか。大変な仕事だから、食事面でしっかり久次君のサポートをしてあげなさい」

「……うん、そうだね」

 久次さんとの婚約が決まってからというもの、会うといつも父は彼の話ばかりする。

 複雑な思いを抱えながらも相槌を打ち、父の話に耳を傾けた。
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