エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
「あんなやつのために泣くことはありません。……と言いたいところですが、泣きたい時は我慢せずに泣いてください。そうすればすっきりするはずです。泣き顔を見られたくなかったら、私に顔を埋めてくださってけっこうです」

「木嶋さん……」

 本当にどうして彼はこんなにも優しいのだろうか。私を守るのが仕事だとわかっていても、甘えたくてたまらなくなる。

「すみませっ……」

 こらえ切れず溢れた涙を隠すように、私は彼の肩に顔を埋めた。

「大通りに出たらタクシーを拾って帰りましょう。……それまでは思う存分泣いてください」

「は、い」

 今だけは木嶋さんに甘えたい。

 円城家を出た後、彼は私が泣き止むタイミングに合わせるようにゆっくりと大通りに向かった。
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