エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
「大丈夫です、紅葉様。……あんな言葉を鵜呑みにして怖がることはございません」

 進むスピードを速め、木嶋さんはリビングのドアを開けてくれた。出る前に少しだけ振り返り見ると、今にも襲ってきそうな勢いの久次さんを、SPが必死に押さえつけて宥めていた。

 あの姿を見る限り、久次さんとこれ以上歩み寄ることは不可能なんだろうな。些細な憧れも叶えてくれそうにない。

 さっきの光景が脳裏に浮かび、涙が溢れそうになる。

 それに気づいたのか、木嶋さんは足を止めて「失礼します」と言うと軽々と私を抱き上げた。

「キャッ!?」

 いきなりお姫様抱っこされて、咄嗟に彼の首を腕を回してしがみついた。

「き、木嶋さん?」

 初めての経験に恥ずかしいやら重くないか心配になるやら、頭の中はパニック状態。しかし木嶋さんは平然と私を抱きかかえたまま玄関へと歩を進める。
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