エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
「じゃあお互い様ってことにしようか」

「うん、そうだね」

 ふたりして涙を拭い、木嶋さんの存在に気づいた。

「すみません、木嶋さん」

「お恥ずかしいところをお見せしてしまいましたね、すみませんでした」

 謝った私と父に対し、木嶋さんは首を横に振った。

「おふたりの良好な関係が垣間見られ、私まで胸が熱くなりました。それに紅葉様のご判断は正しいと思います。あのような男に紅葉様はもったいないです」

「そうですよね! 木嶋さん、わかっていらっしゃる」

 父にならまだしも、木嶋さんにもそんなことを言われたら恥ずかしい気持ちでいっぱいになる。

 でも久次さんに私はもったいないって言ってくれて、たとえ父の前だから社交辞令だとしても嬉しいな。

「しかし私たちが円城さんに婚約破棄の申し入れをしたら、こうして木嶋さんともお会いすることはできなくなるのは寂しくもありますね。それに仕事を奪うことになって申し訳ない」

 父の言う通りだ。でもきっと木嶋さんほどの優秀なSPなら、引く手あまたなのだろう。
< 97 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop