忘れさせ屋のドロップス
「ひっく……こわ……かっ……ひっく」
初めてだった。あの人に叩かれたのは。
遥がゆっくり抱きしめた。
「分かった……もう大丈夫だから……」
「遥っ……」
自分でも、もうわからなかった。でも気づいたら遥に縋る様に私は手を伸ばしていた。
遥が、身体が痛いくらいに抱きしめた。
「ほんと……泣き虫なおんねーな。ちゃんと……泣くのも忘れられたら良かったのにな」
ーーーー泣くのも?私は何を忘れてしまったんだろうか。
ずっと心の真ん中が空っぽだ。
何かわからないけど、心の真ん中が誰かを探して誰かを求めてる。
「わからないの……大事なところが見えなくて」
パズルのピースはところどころを無くしてしまって形がわからなくて、肝心なところが見えない。
「わからなくていいから」
そう言って、背中をトントンと叩く遥の胸に私は、顔を埋めた。
遥の側から離れないように、遥の匂いのするスウェットの裾を握りしめる。