不倫の女
「そうですね。おっしゃる通りです」
何もかも見透かされている。
意地汚く生きることを赦されてしまう。
それが何よりも辛いことで苦しいこととこの人は知っているから。
「じゃあ、私はそろそろいかないと。もう、きっと会うこともないでしょうね。ありがとう」
奥様は清々しいほどの笑顔を浮かべてその場を去っていく。
その背中に向かって私は言う。
「どうして、そんな風に笑えるんですか?」
なんでこんな私を赦せるのだろうか。
それが疑問だった。
その疑問を聞いておかないと私は一生抱えてしまう。
いや抱えるのはわかりきってはいる。
どうしてもそれだけは聞いておかなくてはいけない気がした。
奥様は振り返り言う。
「最初に言ったでしょ。こうして話していることが、ある意味復讐だって。ああ、そうだ二点伝えておくことがあったわ」