素敵な天使のいる夜にー4th storyー


それから、月日は流れ1ヶ月が経とうとしていた。


あれほど苦しかった呼吸は落ち着いて、酸素も外れていた。


病院の中庭を、ゆっくり散歩できるまで身体は回復していた。


大翔先生に生きていてほしいという言葉があったから、ここまで前向きに治療に取り組めたと思う。


それでもやっぱり…


気にかかることは大学のこと。


休むことを決めた日以来、大学からの連絡はなかった。


床頭台に置かれた実習のノートに手を伸ばすと、


コンコン


静かな病室に、ノックの音が響いた。


「失礼します。」


「…教授?」


担任の川崎教授と大翔先生が病室へ入る。


「身体の具合は大丈夫かな?以前よりも顔色も良さそうだね。」


「…だいぶ、回復してきました。」


私の言葉を聞いて、安心したかのように頷いた。


「良かった…」


しばらく、3人で他愛のない会話をした後に川崎教授は一枚の書類をオーバーテーブルへ置いた。


置かれた書類に、そっと手を添えたと同時に胸が締めつけられる。


裏返しにされた書類…


きっと休学届…


少し覚悟を決めてから、渡された書類を確認する。


「…えっ?」


そこに書かれていたのは『履修案(仮)』だった。


私の反応を見て、大翔先生も教授も優しく笑う。


「君にはまだ、医師になるための資格がある。」


教授の言葉に、目を見開く。


「本命である精神科実習は参加できなかった。それは、確かな事実だ。

でもね、それだけで医師への道が閉ざされるわけではないんだよ。」


川崎教授は、ベッドサイドにある椅子へゆっくり腰を下ろす。


「大学でも話し合いを重ねた。沙奈さんがしっかり体調を整えた後、補習実習や代替日程でどうにか単位を修得できないか。

今、その方向でその方法を検討している。」


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