素敵な天使のいる夜にー4th storyー
新しい1歩
川崎教授がお見舞いに来てから1週間。
大翔先生からの退院の許可が降りて私は無事に退院することができた。
「沙奈。まだ体調は万全じゃないから無理はするなよ。
必ず、少しでも体調がおかしいと思ったらすぐに連絡すること。」
「分かった。」
大翔先生の車から降りて私は履修が行われる教室へと向かった。
履修は実習という形ではなく、ペーパーペイシェントで行われることになった。
そこには、今回の精神科実習で合格出来なかった人と理由があって精神科実習を受けられなかった人が何人かいた。
音羽や、瑛人がいない中やっていけるだろうか…
…大丈夫。
小さく自分に言い聞かせる。
教授や大学側で私に与えてくれたこの機会を大切な実習にしたい。
少しだけ深呼吸をしてから、教室の扉を開ける。
「七瀬さん!」
「無理しないでね。」
話したことのなかった、複数人の生徒が優しく声をかけてくれた。
「ありがとう。」
抱えていた緊張の糸がゆっくりと解けていく。
それから、この履修を担当してくれる教授が教室に入ってきた。
「履修を始める前に、今日は新しい生徒を紹介する。他の大学から転入してきた学生だ。」
扉が開くと、背の高い青年がゆっくり教室へ入ってくる。
「初めまして。神代絢翔です。」
神代…?
「今日からよろしくお願いします。」
絢翔君は、丁寧に頭を下げた。
「…かっこいいね。」
拍手の中に、女子学生がざわついていた。