オトメの魔法
『取り敢えず,お茶会でもしようか。招待するよ』

ーえっと,あなたは?



王子様ですか? とも,王子様の知り合いですか? とも聞けません。

だって,纏う空気が全く違うのですから。

だけれど,危険だとは微塵も思いません。

女の子は不思議に思いながら,彼につられるまま歩きます。

『俺は,この森の妖精。森のみんなと暮らしてるんだ』

ーみんな?

『そうだよ,みんな。森の動物たち』

……動物。

ーじゃあ,真っ白でふわふわのうさぎさんなんかもいるの?

『うさぎ? そんなのはこの森にいないよ』



女の子は,彼と離れたくないと思いながらも,がっかりしました。

あのうさぎさえ見つかれば,安心できると思ったのです。

見つからなくても,知り合いなら,妖精の彼が帰り方を知っているかもしれないとも。
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