美雪
 こういう性格の持ち主だったせいもあって、昼休みはいつも一人だった。

 あたしはいつも中庭の涼しい日陰にいた。
 校舎からは完全に死角になっていて、一人になれるこの日陰が大好きだった。
 
 でも、ある日あたしをからかおうと後をつけてきた男子たちに、この場所が知れてしまった。

 男子の一人があたしに近づいてきた。
「なんでこんな所に来てるんだよ。」
 皆と話せばいいのに、と言って違う男子が顔を覗き込んでくる。あたしは反論する気もなかったので黙っていた。

「無視すんなよ。何か言えって。」

 うるさい。

 暑苦しいからあんまり寄らないで欲しい。
 せっかく涼んでいたのに。

 あたしの反抗的な態度に、男子達がイラついてきたようだ。数人で固まって何か話し合った後、2人が走って立ち去った。
「そういえばお前雪女なんだって?」

 …またそれか。でも、これ以上黙っているのは危険だと思ったので、ちがうよ。と、返した。
 何がおかしいのか、男子達は爆笑していた。
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