エンドロールの先でも君を恋うから
「……やよいに、ノート…」
「うん、うん、わかったよ。任せて」
涙混じりな声は優羽のお母さんのもの。
これが最後の会話。
私は、最期までその空間に入ることはなかった。
一歩引く看護師さんの足が震えているのがカーテン越しに見えて、この状況がどんどん現実味を帯びる。
嗚咽を漏らさず耐えるのに必死な私には、優羽の言葉を一言一句忘れずにとっておくことはできなくて。
優羽が私の名前を呼ぶ、最後の声。
それだけが私の深い場所に残った。
もう二度と、どんなことをしたって、この声が聞こえることは無い。
私を抱きしめてくれることも無い。
優羽がいなくなる。
「…あり、がと」
優羽が目を閉じた合図の音が響く。
何人かのお医者さんが来て、叫ぶような泣き声と、むせ返りそうな機械音。
カーテンを開けるとベッドには愛しい彼。
目尻に涙が浮かんでいる。それは、少し前まで優羽が生きていた証拠。
白い肌に触れても動かない彼に向けて、何度も何度も名前を呼んだ。
「ゆう?……ねえ優羽」