プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
第6章 雷鳴
「もっと、気の利いた店なら良かったんですけど、すみません」
 席につくなり、田所がすまなそうに口にした。

 金曜日の夜。
 田所に会うのは数週間ぶり、4度目。


 電話で約束してからずっと思っていた。

 会ってみたら、「彼が好き」なんて、意外と勝手な思い込みだったと気づくんじゃないかと。

 でも、雑踏のなかに田所の姿を見つけたとき、どれだけ焦がれていたか悟ってしまった。

 こっちに向かって笑顔で手を振る田所が、思っていた以上に愛おしくてたまらなかった。

 あの胸に飛び込みたい。

 そんなことまで思っている自分が信じられない。
 
***

 田所の案内で、新宿の雑居ビルの2階にある焼き鳥屋に行き、カウンターに並んで座った。

「誘ったはいいけど、俺、あんまり店とか知らなかったって気づいて。ここは前に大学の先輩に連れてきてもらったことがあって、そのとき、うまかったの思い出して」

「ううん。こういう雰囲気の店、好きよ」

「じゃあよかったです。ここの焼き鳥、本当にいけるんですよ」

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