プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
 お待ちーと言って、元気な店員さんが生ビールを運んできた。

「じゃ、2カ月間、どうもお疲れさまでした」とジョッキを合わせる。

「あー、うめえ」

田所は一気に3分の1ほど開けた。

「いける口なんだ」
「まあ、そこそこは。佐久間さんは?」
「うちは強い家系みたい。普通に飲んでて、酔ったことないわよ」

「なんだ。佐久間さんが酔うとどうなるか、楽しみにしてたのに」
 田所は大げさにガッカリして見せる。

「おあいにく様」
 ふたりで笑い合う。

 こんな他愛もないやりとりで心が躍るなんて、ほんと中高生の恋愛じゃあるまいし。

 わたしは心の中で苦笑した。

 当たり障りのない話をしながら、ここが賑やかな店で良かったとつくづく思っていた。

 静かな店で、向かい合っていたりしたら、何を話していいかわからなくなってしまっていただろう。
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