プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
 でも、それがまずかったのだ。

 適当なところで、笑顔で、またいつか飲みましょうね、なんて、あいまいな約束だけ交わして、別れていれば良かったのに。
 
 仕事の話もそろそろなくなってきて、わたしはなんの気なしに田所に尋ねた。

「ご家族はお元気?」
「うーん、親父がちょっとね。心臓に持病があるんで」
「心臓か。心配ね」

「もう、何十年も医者に通ってるから、急にどうこうってことはないと思うけど。前にも言ったかもしれないけど、親父、もう70すぎてるんで」

「じゃあやっぱり、そろそろ親孝行を考える時期かもね。すてきなお嫁さん候補もいることだし」

「嫁?」

 口にした途端、しまったと思った。

 出過ぎたセリフだった。
 聞き流してくれればと思ったけれど、田所は敏感に反応した。

「なんすか、それ」

 明らかに不機嫌な声。
< 55 / 88 >

この作品をシェア

pagetop