プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
 通りに面した階段の側まで来たとき、田所の足が少しふらついた。

「大丈夫?」
 思わず出したわたしの手を田所が掴む。

彼はそのまま、わたしを通路の壁に押しつけた。

「ちょっと、たど……」

 そして……

 気づいたときには、唇が重ねられていた。


 わたしが首を横に振ると、田所はすぐに唇を離し、わたしの顔を覗き込んできた。

 ジリジリと焼かれてしまいそうなほど熱っぽい眼差しで。

「杏子さん……」
 田所は聞き取れないほどの小声で呟いた。

 それからわたしに覆いかぶさるように壁に両手をつき、母親が子供の熱を測るときのように額を合わせてきた。

 見えない檻に囚われたようで、息が詰まりそうになる。
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