花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「君が同意すれば無理矢理じゃない」
ラドクリフは目を妖しく光らせ、私に顔を近づけてくる。
彼が私の唇を奪ったので、咄嗟にカッとなってその唇を噛んだ。
「うっ!」と呻いて顔をあげるラドクリフの唇からは血が出ていた。
「ホント、手強いよ」
私を見据え、彼は手で血を拭う。
また襲われると思ったが、ラドクリフは私から離れてベッドを降りた。
「興が醒めた。君を抱くのはまた今度にする」
どこか楽しげに笑って彼は部屋を出ていく。
ドアが閉まると、フーッと息を吐いて、唇を手でゴシゴシと拭った。
あんな人に唇を奪われるなんて……。
でも、最後まで襲われなくてホッとした。
ベッドサイドに置いてある時計を見ると、午前二時を回っていた。
私のパスポートも、スマホもバッグもラドクリフが持っている。
だけど、ここは本当に台北なのだろうか?
飛行機に乗った記憶がないので、信じられない。
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