花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
11,彼女の救出 ー 蓮side
「今日はもう藤森さん帰ったの?」
花音の部屋に泊まった次の日。
午後七時頃に研究所に顔を出すと、オフィスで田辺に会った。
「ええ。一時間前くらいに」
「一時間前ね。田辺が彼女を送って行ったの?」
ディランのこともあって直也に花音をひとりで帰らせないように伝えていた。
「いえ。送ろうとしたら、花音先輩のおじいさんが車で迎えに来てて。運転手付きの車で、ちょっとビックリしましたよ。花音先輩ってやっぱお嬢様だったんですね」
田辺が呑気にそんなことを口にするが、俺の胸はざわついた。
理事長が迎えに来てた?
「それは……ちょっとマズイな」
顎に手を当てて呟いたら、ポケットに入れていたスマホがブルブルと震えた。
スマホを確認すると、神宮司からの着信。
「はい、岡本です」
すぐに電話に出ると、彼が動揺を隠し切れない様子で話し出した。
「至急羽田空港に来い。ついでにプライベートジェットを用意しろ。お前なら持ってるだろ?」
< 213 / 251 >

この作品をシェア

pagetop