花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
2,彼に膝枕されて
次の日の朝、岡本さんの傘を持って出勤した。
彼の席は私の向かい側。
デスクにはパソコンが置かれているだけで、彼の私物らしきものはなにもない。いつもチリひとつなく綺麗だ。
本当に彼がこのデスクを使っているのかと毎日不思議に思うのだけれど、たまに缶コーヒーが置いてあって、彼の存在をそれで認識する程度。
今日はもう帰っただろうか?
それともまだラボに籠もっているかな?
私が出勤してから帰宅する研究員もうちにはちらほらいる。
岡本さんの椅子の背に傘をかけると、コンビニで買った缶コーヒーをデスクに置いて付箋にメッセージを書いた。
【傘、ありがとうございました。コーヒーよかったら飲んでください。藤森】
「これでよし」
正直言って岡本さんに会わなくてホッとした。
今日は心が弱っていて彼と話をするのはなんというか体力を消耗しそうだから。
昨夜は祖父の件があってぐっすり眠れず、ソファで寝たせいか身体がなんとなく痛い。
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