花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
3,初めてのお持ち帰り
次の朝いつものように出勤するが、自宅マンション内で一之瀬さんや他の研究員さんに会うことはなかった。
やはり今後も会うことはない気がする。
とは言っても、昨日会社で寝てしまったので今日はいつもより一時間早く出勤した。
なんせ今日は三月の最終日で、送別会もある。
今日こそは論文進めよう。
そう意気込んでオフィス行くと、朝早いせいか誰もいなかった。
自席のパソコンを立ち上げていたら、白衣を着た岡本さんがこちらにやってきて固まった。
昨日の膝枕事件のことがあって彼の顔をまともに見られない。
あ~、よりによってなんで朝イチにこの人に会ってしまうのか?
「藤森さん?早すぎませんか?」
彼は腕時計をチラッと見ながら私に声をかける。
「が、学会の論文がまだ書けていなくて。岡本さんはこれから帰るんですか?」
あたふたしながら話題を変えるが、彼の目は私を見据えたまま。
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