花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
田辺君がやってきてキラキラした目で声をかける。
主人の命令を待つ忠犬に見えてきて思わず頭を撫でたくなったが、グッと堪えた。
「ありがとう。もっと人数集まったら、みんなの飲み物聞いてもらっていい?二時間飲み放題のコースなんだ」
「了解です」
「一之瀬さんはまだ来てないね」
周囲を見回して田辺君に尋ねると、彼はコクッと頷いた。
「そうですね。午後本社行ったきり、戻ってきてないですね」
一之瀬さんは元々研究員だけれど、部長になってからはマネージメントに専念して各方面から開発資金を集めている。だから、一之瀬さんが一日中研究所にいることはほとんどない。
「ぎりぎりまで待って来なければ、部長代理の大野さんに乾杯の挨拶をお願いしようかな……」
歓送会の開始時間は十八時半。
あと十分で始まるけれど、一之瀬さんから特に遅れるという連絡はない。
ということは、そんなに遅れないということ。
ほぼ人数が揃い、みんなの飲み物が行き渡ったところで、一之瀬さんが現れた。
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