ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 現代最高の聖女と喧伝したことを、ジュスランは後悔しているところであった。民の前に出る時は、髪を頭に巻いた布の中に押し込み、顏の前にはベールを垂らしてごまかしているが、結婚式ではsんなわけにもいかないだろう。
 そろそろ結婚してもいい年頃になってからも、ヴィニーシアを聖女の祠にとどめおき、婚儀を挙げなかったのはそんな事情もあった。

(もし、この娘の能力が本当だというのなら――)

 ジェルトルーデを聖女にすえ、ジュスランの新たな婚約者としようか。見栄えのいい娘が聖女になった方が、民も嬉しいはずだ。

「お任せください。このくらい、私にだって浄化することができますわ」

 瘴気の方に向かったジェルトルーデは、その場に膝をついた。目を閉じ、祈る体勢になる。
 彼女の身体から、淡い光が漏れ出したかと思ったら、その光は天へと駆け上り、そして瘴気に降り注いだ。

(これが、本来の聖女の力か――)

 ジュスランも思わず目を見張る。ヴィニーシアの浄化のしかたとはまるで違う。
 美しく輝く光に触れたところから、瘴気が薄れ、そして消えていく。

「ね? 殿下――私にも、女神様は聖女としての力を与えてくださったのです」

 恥ずかしそうに頬を染め、そしてジェルトルーデはジュスランを見上げた。

「……偽物の聖女から、私の地位を取り戻してください」
「ああ、約束しよう」

 隣に置くのなら、醜い女より美女の方がいいに決まっている。
 薄く開いた唇に吸い寄せられるように、ジュスランはキスをしたのだった。
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