ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 人前なので、あくまでハムスターのふりは忘れていないらしい。甲高い声をあげたマルは、シアの肩まで駆け上がり、耳の側でささやいた。

「正体ばらしてどうするの。死にたいの?」
「……だって」

 ぼそぼそと返そうとしたら、マルはさらに言葉を重ねてきた。

「君の祝福をこっそりエドにかけてやりなよ。あと、彼の仲間達にも。人食い猿くらいだったら、彼ならそれで問題ないよ」

 なんで、家妖精にすぎないマルがそんなことまで知っているのだろう。
 でも、冷静になってみれば、マルが言うのも当然だ。シアが身元を偽ってここに出入りしていたことが知られたら、ベラにまで迷惑をかけかねない。

(……歯がゆいな)

 聖女としての生活にはうんざりしていたけれど、正体を明かしてはならないとなるとシアにできることは限られてしまう。なにもできないのが歯がゆかった。

「エドさん、気を付けて行ってきてくださいね?」
「なんだ、心配してくれるのか」

 ええ、とうなずいたけれど、どのくらい心配なのか、きっとエドには伝わっていないだろう。

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