ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 ジェルトルーデが投げてよこしたのは、古いドレスだった。たぶん、彼女が着用したものだろう。シアの方がジェルトルーデより少し大柄なので、渡されたドレスでは、どう見ても寸法が合わない。

(本当に、隣の国の王様に失礼だって理解しているのかな、この人達……)

 だが、聖女の衣だけというのは心もとなかったので、ありがたく投げ渡されたそれを拾い上げる。

「呪われた王様のところに行かされるなんて気の毒に」
「ええ、そうね」

 口元に手を当て、くすくすと笑いながらジェルトルーデはシアを見つめた。美しい銀色の髪が、彼女の動きに合わせて揺れる。青い瞳には、酷薄な色が浮かんでいた。そんな目で見られるのはいつものこと。もう、傷つくこともない。

「かわいそうな姉のために、着替えを用意してあげるなんて、私、親切よね」
「ええ、そうね」

 たしかに、白一色の聖女の衣だけでは、道中抜け出しにくくなるなーと思っていたから助かった。

「ジュスラン様とは、私が幸せになるから」
「ええ、そうね」

 そこにシアが口を挟む必要はない。シアから遠いところで、ふたりで幸せになってくれればそれでいい。

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