ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 少しばかり馬鹿にしたような目で、ヨアキムはこちらを見てくる。彼は、本音を言ってくれるからやりやすいが、時折主君を主君と思っていない目つきをすることがある。。

「しかたないだろ、今までそういう経験値を積む機会はなかった」
「俺もそうですがね!」

 と言いつつ、ヨアキムは意外とそのあたり器用にやっているのをエドは知っている。

「そうですねぇ……シア嬢に贈るなら日常生活で使えるものがいいですよ。服とか」
「服?」
「ええ。彼女、あまり着るものを持っていないみたいですしね。いつも似たような格好ですし――ベラに協力を依頼すれば適切な品を選んでくれるでしょう」

 しばし考えた彼は、あっさりとエドが思いつきもしなかった提案をしてきたのだった。

 * * *



 魔物の襲撃があって以来、周囲の人達のシアに対する見方は大きく変化した。
 今まではかなり優秀なポーション職人だったのが、聖女のごとき扱いである。

(あああ、こんなつもりじゃなかったのに……!)

 聖女に奉り上げられるのはごめんだ。また、祠であんな生活を送れとか言われても困る。
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