ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 離宮とベラの店を往復する生活はとっても快適だし、これ以上の贅沢なんて望まない。
 王様からの呼び出しについては丁重にお断りしたし、これからもずっとこんな生活が続けばいいと願う。
 今日もいつもの通りポーションをかかえてベラの店に行ったら、冒険者組合の組合長が押しかけてきた。 

荒くれ者も多い冒険者達を束ねているだけあって、彼自身も腕が立つ。
 年の頃はベラと同じくらいだから、もしかしたら、昔ベラと組んでいたのかも。

「お前、無欲にもほどがあるだろ」
「無欲って、これ以上なにを望めって言うんです?」

 周囲の人達がどう見ていようが、シアは今の状況に満足している。ポーションを納品したら、ベラはきちんと買い取ってくれるし、買い取り値段に不満もない。

「王様がご褒美くれるって言ってるのに、王宮にもいかないし」
「やですよぅ、面倒ですもん」

 シアはしかめっ面になった。王宮になんか行ったら、ヴィニーシアとシアが同一人物だってバレてしまう。そうなったら、確実に面倒なことになる。離宮での静かな生活を奪われたくないし、できることをしただけなんだからお礼なんていらない。
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