ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 魔物退治に出かければ、今まで見たことがないような巨大で強大な魔物に出くわすことが増えた。
 それだけではない。怪我を負うことも増えたし、そもそも魔物の出現が、以前とは比べ物にならないほど増えている。

「――おい」

 低い声でジェルトルーデを呼べば、肩をピクリと揺らす。

「まあ、殿下! お怪我をなさってるのですね!」

 見ればわかるだろうに空々しい声をあげるのがまた、ジュスランの癇に障った。

「すぐにお治ししますね!」

 ジェルトルーデは、ジュスランの手を取り、そしてそこに自分の手を重ねる。じんわりとした温かみが、彼女の手から広がっていく。
 じんわりとした温かみが――広がり――そして、さらに広がる。傷の痛みは、少しずつ、ほんの少しずつ癒えていく。

「ヴィニーシアのポーションなら、こんな怪我すぐに治ったのにな。お前、ポーションは作れないのか」

 思わずそう漏らせば、ジェルトルーデは傷ついたような目でこちらを見上げた。
 以前は、この表情を愛らしいと思ったのだが、そう思った自分のことを、殴り倒してやりたいような気持ちに襲われる。

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