ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 ポーションの質を確認したいと言うのは当然のこと。どうせ一本は見本にするつもりだったのでかまわない。
 シアがうなずくと、男は指の先をナイフで切った。傷口に血がにじむ。
 それから蓋を開けたポーションの中身をその傷に垂らした。あっという間に、傷が塞がっていく。

「――すげぇ」

 感心したような言葉が、男の口から漏れた。傷がちゃんと治るのはわかっていたけれど、ひやひやとしていたシアは胸をなで下ろす。

「これなら、銀貨一枚で買い取ってもらえるんじゃないか?」
「本当ですか?」

 銀貨一枚あれば、一食分くらいにはなるだろうか。瓶はあと九本だから――と考えていると、横から声がした。

「冗談だろ? このポーションが一本銀貨一枚だって?」
「――ベラ」

 横から割り込んできたのは、恰幅のいい女性だった。ブラウスの上にエプロンをつけ。頭には三角巾をつけているところを見ると、近所の住民のようだ。

「アロイス! お前、田舎から出てきたばかりの女の子をだまそうっていうの?」
「べ、別に俺はそんなつもりじゃ」
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