ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「違うよ? 家妖精は家を快適に保つけど、家についてるわけじゃないから。家についてるやつもいるんだろうけど、僕はシアと一緒にいたいからここにいるんだし」
「そうなの?」

 シアの黒い目が、大きく丸く見開かれる。この国を離れるのになんの心残りもないと思っていたけれど、マルと別れるのだけは寂しかった。

「国境を越えることになるけど平気?」
「国境なんて、人間が勝手に引いた線だからね。僕には関係ないよ、人間の国境なんて」
「わあ、嬉しい!」

 手を伸ばしたシアは、マルを引き寄せ頬ずりした。
 ベッドが硬いのはどうしようもないけれど、薄い布団でも寒さを覚えなかったのは、マルが室温を快適に保ってくれていたからである。
 長年の間、この祠に住んだ聖女はいなかったので、最初にここに来た時は埃まみれだった。
 掃除から始めなければならないとげんなりしていた時に、マルがタイミングよく住み着いてくれた。十一回目の人生で初めてのことである。
 掃除は全般的にマルがやってくれるし、届けられる乏しい食材も、マルがおいしく料理してくれた。シアにとっては、家族同様の存在である。

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