ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 となると、街中ですれ違ったとかだろうか。だが、余程印象深くないと、すれ違った程度の人のことなんて覚えていない気がする。
 たしかに、見た目もいいし好青年だけれど――そういう意味でそこまで印象深いわけではないと思う。

「いいじゃないか、どこで見かけたって」
「――そうね」

 以前、エドをどこで見かけたかなんて、気にする必要もない。それよりは、シア特製ポーションが認められたことを素直に喜ぼう。

「ねー、シア印のポーション入った?」
「入ってますよー、いつもありがとうございます!」

 エドが出ていったかと思うと、次から次へと冒険者達がやってくる。
 十本納品したはずのポーションは、ベラが戻ってくるまでの間に半分以上売れてしまった。

 * * *


 エドが店から出てくると、ヨアキムがすかさず近寄ってくる。ヨアキムの方も、今日は冒険者としての装いだった。
 魔術師のローブを羽織り、フードを深めにかぶっている。
 ヨアキムの方も髪の色と目の色を変えているのだが、この格好をしているところを知り合いに見られたくないらしい。

「どうでした?」
「運がよかったな。今日入荷したばかりだった」

 エドはなにしろ本業国王である。
 街の様子を自分の目で確認したいというのも目的のひとつではあるけれど、冒険者として依頼を受けているのは、この国の冒険者の数が少ないからというその一言に尽きる。
 ここひと月ほど、瘴気の発生が減少しているのが気になった。瘴気の発生が減少すれば、魔物の発生も少なくなるのはわかるのだが、減少する理由がわからない。
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