ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
(――って、なにを考えているんだ、俺は)

 今まで女性には縁のない生活を送ってきたからだろうか。シアの顔を見たとたん目が離せなくなってしまったのは。
 呪われている以上、誰かと温かな未来を築くなんて、夢に見ることさえ許されないのに。

「シア印ですか……どんなポーション職人なんでしょう。やっぱり、他国から来た熟練の職人? これだけの腕を持っていれば、今まで世に出てこないってことはないでしょうしね」
「若い女性だったぞ」
「――え?」

 思いがけない回答だったらしく、ヨアキムは目を見張る。

「ベラに頼まれて店番をしていたらしい。若い女性だった。感じのいい人だったよ。他国から来たばかりってところじゃないかな」

 と続けたら、ヨアキムは、もの珍しそうな顔でこちらを見た。

「あなたが女性についてそういう言い方をするのは珍しいですね。他国から来たって、なんでわかったんです?」
「銀髪だったからさ。うちの国にはまずいないだろ」
「ああ、そうですねえ……モリオール家は銀髪の家系ですが、モリオール家の庶子なら、大事に本家で育てられるでしょうしね。あそこの当主は愛妻家なので、庶子なんてあり得ない話ですが」

 国内の貴族の特徴は、すべてヨアキムの頭の中に入っている。
 夫婦の仲まである程度把握しているのは、いったいどういう手を使っているのか。
 詳しく聞くと、笑えない事態になりそうなので、深く追求したことはないし、今後も追求する気はない。
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