ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
(――変だな)

 心穏やかに暮らすことができればいいと思うなんて、どうかしている。自分と彼女は他人。それ以上の関係に発展することなどないはずなのに。

「あなたがそう言うのなら、それでかまいませんが」
「心穏やかに暮らせるのなら、それが一番だろう?」

 そう口にするのは、エド自身がそう願っているからかもしれない。
 呪われているとはいえ、弟が幼いまだ、エドが王位を去るわけにはいかない。弟の手に渡すまで、この国を守らなくては。
 幸い、弟は利発で、エドが選んだ教育係からしっかりと学んでいる。あと数年のうちには、安心して王位を譲ることができるだろう。

「でも、近頃のあなたは、とても顔色がいいですよ」
「お前もそう思うか? 俺も、身体が楽だと思ってたんだ」

 毎晩毎晩、夢の中で魔物を退治し続けていたのだが、このところその頻度がだいぶ減っている。まったく夢を見ない日が続いたかと思えば、悪夢にうなされる日もある。
 だが、何年もの間、まともに眠ることができていなかった頃と比べるととても体調がいい。身体が軽い。

「それなら、今日のノルマは達成できますね?」

 とヨアキムはポケットから取り出した依頼書をひらり。
 魔物を五頭、狩って帰らなければならない。

「任せろ」

 幸い、効果が高いと評判のポーションを入手することができた。無理は厳禁だが、少し思いきった行動をとってみてもいいだろう。
 この日、冒険者エドはノルマの倍の魔物を冒険者組合におさめ、〝エヴァンドロ〟として戻った時には、ヨアキムが驚くほどに上機嫌だった。

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