あなたとわたしで紡ぐ愛
2、不毛



ジリリリリ………‼︎

午前7時きっかり。

渓くんの寝ている寝室にこっそり置いておいた目覚まし時計(その数4つほど)が一斉に彼を起こしにかかる音を、私は台所でお味噌汁の味噌を溶きながら聞いていた。

うわっ⁉︎という驚いた声の後、そのけたたましいハーモニーが1つずつシャットダウンされていく。そして最後のひとつが止められると同時に再び朝の静寂な空気が戻って……来る訳もなく。

ドタドタドタ!と慌ただしい音を立てながら渓くんが台所へ飛び込んで来る。

ここはもともと渓くんのご実家で、ご両親が海外に永住するのをきっかけに少しリフォームをした後、渓くんが1人で住むようになったんだそう。

でも縁側のあるこの平家は全体的に年季が入っていて、彼が乱暴に歩く度にミシミシ軋(きし)む床がまるでもっと労(いたわ)って歩けと文句を言っているかのようだった。


「ーー(すい)!」

「あ、渓くんおはようございます」


私はお味噌汁の味見をしながら首だけを捻り、呼ぶ声に含まれた抗議の色は華麗にスルーしてしれっと朝の挨拶を返す。


「おい、何なんだ、あの大量の目覚まし時計は?」


けれど結局スルーすることは許されず、すっと細められた、気持ち釣り上がった切長の瞳に捕まってしまう。

まぁ自分で置いた覚えのない目覚まし時計にあれだけやかましく起こされれば、文句の1つも言いたくなるのも無理はない。

< 4 / 62 >

この作品をシェア

pagetop