オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
「……似合ってる?」
私が、姿見鏡から振り返ると、春樹がスマホを向けながら、二重瞼を細めて微笑んだ。
「やっぱ俺はこれが一番好きだな、明香に羽が生えてるみたいで、天使みたい。すごく綺麗だよ」
プランナーの女性が、いるすぐそばで春樹は、平気でそんな言葉を口にする。
「春樹。恥ずかしいよ」
「何で?綺麗すぎて、俺は、誰にも見せたくないけどね」
赤くなった私を見ながら、ウェディングプランナーの女性が、ふわりと笑う。
「お写真など、お取りになっててくださいね、ブーケの見本を取って参りますので」
プランナーの女性が、扉を閉めると、すぐに春樹が、もう一度、姿見鏡を見ていた私を後ろから抱きしめた。
「ちょっと、春樹っ」
いつプランナーの人が帰ってくるかも分からないのに、春樹は私の頬に後ろから、軽く口付けた。
「ドレスから見えるところに、本当は全部つけときたい位なんだけどね」
「もう……」
真っ赤になった私から、悪戯っ子のような瞳をしながら、するりと腕を離すと、私の左手を取って、薬指の指輪を眺めた。
「春樹、式の日取り、今日こそ決めてかえる?」
「いや、ちょっと、まだ仕事が立て込んでて、ごめん……もう少しだけ待ってくれる?」
「うん、分かった、あんまり、お仕事無理しないで」
「ありがとう」
春樹は、触れるだけのキスを私に落とした。
ーーーーちょうど春樹のスマホが鳴る。
液晶画面を確認すると、春樹の顔が曇った。
「仕事だ、外で話してくるよ」
「分かった」
春樹は、少しまで、早く式の日取りを決めて、入籍したいと話していたのに、最近は、仕事を理由に先延ばしにしているのが、私は、気になっていた。
ただ、未央が心配していたような頭痛を起こすこともなく、春樹は変わらず、家庭的で、優しくて、私を毎日、愛してくれて、慈しむように抱いてくれる。
あの家で、二人での生活に満たされている一方で、春樹が、冬馬の話をしなくなったのだけが、私は、やっぱり寂しかった。
「お待たせ」
振り返れば、ちょうどプランナーの女性と春樹が戻ってきた。
「明香、ちょっと急ぎの案件入っちゃって、ごめんな、ブーケまた今度でいいかな?一回、明香、連れてかえって、そのまま出るよ」
「あ、じゃあ、私、電車で帰れるよ?」
春樹は、悩んだ顔をしている。
「子供じゃないから大丈夫、家ついたら連絡するね」
「そっか、ごめんな、タクシー乗れよ。じゃあまた夜に」
春樹は、そう言うと急いで出て行った。
私が、姿見鏡から振り返ると、春樹がスマホを向けながら、二重瞼を細めて微笑んだ。
「やっぱ俺はこれが一番好きだな、明香に羽が生えてるみたいで、天使みたい。すごく綺麗だよ」
プランナーの女性が、いるすぐそばで春樹は、平気でそんな言葉を口にする。
「春樹。恥ずかしいよ」
「何で?綺麗すぎて、俺は、誰にも見せたくないけどね」
赤くなった私を見ながら、ウェディングプランナーの女性が、ふわりと笑う。
「お写真など、お取りになっててくださいね、ブーケの見本を取って参りますので」
プランナーの女性が、扉を閉めると、すぐに春樹が、もう一度、姿見鏡を見ていた私を後ろから抱きしめた。
「ちょっと、春樹っ」
いつプランナーの人が帰ってくるかも分からないのに、春樹は私の頬に後ろから、軽く口付けた。
「ドレスから見えるところに、本当は全部つけときたい位なんだけどね」
「もう……」
真っ赤になった私から、悪戯っ子のような瞳をしながら、するりと腕を離すと、私の左手を取って、薬指の指輪を眺めた。
「春樹、式の日取り、今日こそ決めてかえる?」
「いや、ちょっと、まだ仕事が立て込んでて、ごめん……もう少しだけ待ってくれる?」
「うん、分かった、あんまり、お仕事無理しないで」
「ありがとう」
春樹は、触れるだけのキスを私に落とした。
ーーーーちょうど春樹のスマホが鳴る。
液晶画面を確認すると、春樹の顔が曇った。
「仕事だ、外で話してくるよ」
「分かった」
春樹は、少しまで、早く式の日取りを決めて、入籍したいと話していたのに、最近は、仕事を理由に先延ばしにしているのが、私は、気になっていた。
ただ、未央が心配していたような頭痛を起こすこともなく、春樹は変わらず、家庭的で、優しくて、私を毎日、愛してくれて、慈しむように抱いてくれる。
あの家で、二人での生活に満たされている一方で、春樹が、冬馬の話をしなくなったのだけが、私は、やっぱり寂しかった。
「お待たせ」
振り返れば、ちょうどプランナーの女性と春樹が戻ってきた。
「明香、ちょっと急ぎの案件入っちゃって、ごめんな、ブーケまた今度でいいかな?一回、明香、連れてかえって、そのまま出るよ」
「あ、じゃあ、私、電車で帰れるよ?」
春樹は、悩んだ顔をしている。
「子供じゃないから大丈夫、家ついたら連絡するね」
「そっか、ごめんな、タクシー乗れよ。じゃあまた夜に」
春樹は、そう言うと急いで出て行った。