オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
お礼とあとがき
本日2022年 9月7日、『オリオンの夜に』完結できましたこと、大変嬉しく思います。

この物語のテーマは『相手の幸せを願う』。
登場人物全てが、誰かの幸せを自分の幸せ以上に願っています。

明香は、冬馬を愛していますが、冬馬を兄だと思っていた長く切ない時間、春樹の愛情で救われていて、春樹が、大切で大好きな気持ちに変わりはありません。物語では、春樹との子供を授かります。明香は、ずっと春樹の真っ直ぐで大きな愛情に応えたい気持ちを、春樹との子供を出産することで、叶えられたのではないでしょうか。例え、愛する人達の側に居られなくなったとしても、未来に幸せを託した、芯の強い女性です。


一方、冬馬も明香を深く愛していますが、本人が思っている以上に、複雑な家庭環境にも関わらず、純粋で健気な芽衣にも惹かれています。
ぶっきらぼうで、言葉足らずなところもある冬馬ですが、相手の幸せを一番に考える、優しく、また人一倍寂しがり屋の人物です。
また大切な兄である、春樹の幸せも一番強く願っています。

春樹も、冬馬も明香も愛していて、明香への想いは誰にも負けないという自負がありながら、冬馬には、いつか負けるかもしれないという葛藤を抱えており、また兄妹ではない事実に、一番苦しんだ人物かもしれません。それほどに、真っ直ぐに明香を愛し続けた人物です。

未央もまた、お嬢様でプライドが高く、春樹に対してだけ、素直になれない勝ち気な女性ですが、冬馬と同じく、他の男の人で紛らわせる程に、春樹だけを想い続けて、春樹の幸せだけを願う、一途さがあります。

芽衣は、政略結婚である冬馬に、初めての恋をします。冬馬が明香を愛していることを理解して、冬馬の気持ちを汲んで、いつも、そっと寄り添う健気な女性です。笑顔が印象的で、冬馬の全てを受け入れたいと願う、強さも持ち合わせています。



さて、実は、この『オリオンの夜に』は、私が初めて書いた恋愛長編物語です。

私は、物語を書くときにラストまで全て決めて書きますが、この物語のラストは、ギリギリまで悩みました。

私自身、雪の降る街で、一生で一度と言える恋に溺れた経験から、考えた物語でもあります。自身の当時の事を入れすぎると、辛すぎて書けなかったので、設定、登場人物、すべて架空ですが、『誰かを心から愛すること』の意味を、自分自身に問いながら、書きました。

例え、叶わない想いでも、結ばれなくても、愛して、愛されたコトは、どんなに時が流れても、心の隅っこに、その時のまま、小さな結晶として光を放っている、私はそう思います。

そして、『相手の幸せを願えたら』。
辛い経験も、溺れて呼吸さえままならなかった日々も、互いに幸せを願いながら、新たな幸せを心に宿して、大切に育てていけたら、全てのことは無意味なんかじゃないなと、今は素直にそう思えます。

冬に相応しい、切ない物語ですが、誰かを本当に愛すること、自分以外の幸せを願える相手がいることの尊さ。

人間の想いの儚さと底知れぬ強さ、相反する想いが交錯しながら、葛藤しながら、それでも、人は、意図せず誰かを愛してしまうのだと思います。


この物語が、愛することの意味を考え、誰かの心に寄り添える物語であれたなら、私は幸せです。

最後までお付き合いくださった方々、本当に有難う御座いました。

他、登場人物のスピンオフの物語もいつか追加できたらと思います。

またお会いできたら、嬉しく思います。


2022.9.7 遊野 煌

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