あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 対して羽理(うり)の弁当は、一品一品大葉(たいよう)が真心を込めて作ってくれた愛情弁当で、(いろど)りだってきっと、岳斗(がくと)の広げている幕の内弁当にだって、引けを取らない。

 今日は小さく刻まれた肉じゃがが入ったちょっぴり茶色っぽい卵焼きと、マヨダレが美味しいテカテカの鶏の照り焼き、ひじきと水菜のサラダ、猫の顔型にくりぬかれたニンジンで作られた艶々のグラッセ、十三穀米のおにぎりが入っている。

 いつも思うけれど、大葉(たいよう)は本当に料理上手だ。

 冷蔵庫の中はいつも綺麗に整理整頓されていて、チルド室には《《手作りの》》冷凍食品が常にアレコレと潤沢(じゅんたく)に収納されている。
 照れ隠しからだろうか? 「冷凍してんのをテキトーに取り出してレンジでチンしただけだ」と、どこかぶっきら棒に言いながら、色んなおかずを弁当箱の中に詰め込んでくれるのだ。

 今朝、見るとはなしに眺めていたら、冷凍品を解凍しただけだ、とか言いながら、ニンジンのグラッセは一から作ってくれていた。
 興味津々で見守る羽理の前で、大葉(たいよう)は少し厚めの輪切りにしたニンジンをレンジで柔らかくしてから、羽理のためだろう。わざわざ可愛く見えるようクッキーの型で猫の顔型にくり抜くなどと言うひと手間を加えてから、バター風味の甘塩(あまじょ)っぱいグラッセにしてくれた。


「ホントすごいね。見た目も綺麗だし……肉と野菜のバランスも良さそうだ」

「はい。見た目だけじゃなくて……味もとってもいい、すっごいお弁当なんですよっ♪」

 思わず《《身内》》の自慢をするように、大葉(たいよう)の功績を(たた)えたくて力説してしまい、岳斗に目を真ん丸にされてしまった。

「その言い方。――自画自賛、って感じじゃないね?」

 言われて、羽理はグッと言葉に詰まって。

「あ、あの……これ、実は人から作って頂いたお弁当なんです」

 しどろもどろに言ったら、「ひょっとして……裸男さんの彼女さんお手製ってことかな?」とか言われてドキーン!と心臓が跳ねる。
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