あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 さて、羽理(うり)と二人で実家をお(いとま)しようとしたら、柚子(ゆず)が「私も……」とか言うから、大葉(たいよう)は丁寧にお断り申し上げた。

「悪いけど柚子は乗せらんねぇよ。いい加減旦那さんの待つ自宅へ帰れ」

「何でよ!」

「羽理と二人きりになりたいからに決まってんだろ! っていうか」

 そこでじっと姉を見つめると、大葉(たいよう)は小さく吐息を落とした。

「どんな喧嘩したのかは知らねぇけど……いい加減仲直りしないと柚子も落ち着かねぇだろ?」

 羽理とほんの数時間すれ違っただけで、大葉(たいよう)は物凄く辛かった。

 ここ数日柚子がやたらと自分たちにお節介なのは、きっと旦那のことが気になっている裏返しに違いない。

「お義兄(にい)さんだって柚子と今のままはしんどいと思うぞ?」
 
「何よ、たいちゃんのくせに……分かったようなこと言って」

「少なくともパートナーにそっぽを向かれる苦痛は身をもって実感したばかりなんだけど?」

 大葉(たいよう)の言葉に羽理が申し訳なさそうに「ごめんなさい」とつぶやくから、大葉(たいよう)は「俺こそすまん」と素直に謝った。

 そんな三人の様子を、足元のキュウリが交互にキョロキョロと見上げている。
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