あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「えっ?」
美住杏子に、『アンちゃんはたいちゃんの好みのタイプだと思う』だのなんだのと要らないことを言って、変に杏子を期待させて傷付けた恵介伯父は、妹である大葉の母・果恵からこっぴどく叱られたのだ。
自分が連絡するまで顔を見せるなと妹から言われて、この世の終わりかと思うくらい意気消沈していた恵介伯父を知っている大葉は、我知らず苦笑する。
「杏……、じゃなくてえっと……、俺の見合い相手だった美住さん……の件で伯父さん、色々やらかしててさ」
羽理の前で、幼少期にそう呼んでいたからといって、そのまま下の名で呼び続けるのはよくないかな? と思った大葉が、〝杏子〟と呼びそうになったのを寸でのところで言い換えたら、羽理が「杏子さんで構いませんよ?」と吐息を落とした。
「……変に気遣われる方が何か嫌ですし」
羽理の言い分ももっともだと思った大葉だったけれど、杏子に懸想している岳斗のことを思うと、やはり線引きは必要だと思って。
「ほら、俺たちはよくても岳斗がイヤかも知んねぇだろ?」
倍相課長の名を出したら、羽理が「ああ、それもそうですね」と受けてから、思案顔をする。
「杏子さんは……大葉のこと、ちゃんと諦められたんでしょうか?」
ややして不安気に落とされた羽理の言葉に、大葉は心の中、(頼むから頑張ってくれ、倍相岳斗!)と念を送らずにはいられなかった。
美住杏子に、『アンちゃんはたいちゃんの好みのタイプだと思う』だのなんだのと要らないことを言って、変に杏子を期待させて傷付けた恵介伯父は、妹である大葉の母・果恵からこっぴどく叱られたのだ。
自分が連絡するまで顔を見せるなと妹から言われて、この世の終わりかと思うくらい意気消沈していた恵介伯父を知っている大葉は、我知らず苦笑する。
「杏……、じゃなくてえっと……、俺の見合い相手だった美住さん……の件で伯父さん、色々やらかしててさ」
羽理の前で、幼少期にそう呼んでいたからといって、そのまま下の名で呼び続けるのはよくないかな? と思った大葉が、〝杏子〟と呼びそうになったのを寸でのところで言い換えたら、羽理が「杏子さんで構いませんよ?」と吐息を落とした。
「……変に気遣われる方が何か嫌ですし」
羽理の言い分ももっともだと思った大葉だったけれど、杏子に懸想している岳斗のことを思うと、やはり線引きは必要だと思って。
「ほら、俺たちはよくても岳斗がイヤかも知んねぇだろ?」
倍相課長の名を出したら、羽理が「ああ、それもそうですね」と受けてから、思案顔をする。
「杏子さんは……大葉のこと、ちゃんと諦められたんでしょうか?」
ややして不安気に落とされた羽理の言葉に、大葉は心の中、(頼むから頑張ってくれ、倍相岳斗!)と念を送らずにはいられなかった。