あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「僕は……その気持ちを最大限に利用してやるつもりです。でも……もしかしたらその結果、土恵(つちけい)を裏切ることになるかも知れません」


***


 岳斗(がくと)真摯(しんし)なまなざしを受けた屋久蓑(やくみの)大葉(たいよう)は、一瞬だけ瞳を大きく見開いたが、すぐにふっと口元を緩めた。

「本気で土恵(うち)を裏切るヤツが、わざわざそんな宣言しないだろ?」

大葉(たいよう)さん……」

 大葉(たいよう)の言葉に、ハッとしたようにこちらを見詰めてくる岳斗に、大葉(たいよう)は続ける。

「前にも話したがな、岳斗。俺はお前を信じてる。土恵(つちけい)()……《《彼女》》のことも、悪いようにはしない。岳斗、お前なら出来るよな?」

「……大葉(たいよう)さんは僕を買い被りすぎです」

 一度吐息を落としてから、大葉(たいよう)に合わせて表情をほんの少し(やわ)らげると、岳斗がお馴染みのふわりと優しい《《腹黒スマイル》》を浮かべる。

「ま、とりあえず今は彼女のもとへ駆けつけなきゃいけないんだろ? 有給休暇の申請は後からで構わねぇから……気ぃ付けて行ってこい」

「有難うございます!」

 大葉(たいよう)がニヤリと笑うと、岳斗が模範的なお辞儀をして部長室を出て行った。

「さて、と……」

 荷物の整理も早めにつけなければいけないが、とりあえず今日は財務経理課長の穴を埋めねばなるまい。
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