あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 そこで自分へ向けてニコッと微笑みかけてくれる岳斗(がくと)の方をちらりと見遣った杏子(あんず)はトクンと心臓が跳ねるのを感じた。

 たまたま出会って優しくしてくれるようになった倍相(ばいしょう)岳斗(がくと)は、最初のうちこそ大葉(たいよう)とは全く違うタイプのイケメンで……。凄く整った顔の人だなと思いはしたけれど、正直微塵も興味はなかった。

 杏子は基本的には軽いノリの男性は好きじゃなかったし、どちらかというと大葉(たいよう)のように口下手で……だけどその実ちゃんと優しさをくれる男性の方が好みなのだ。

 ハッキリ言って岳斗の第一印象はヘラヘラした軟派男のイメージで、杏子の好みとは真逆だった。でも、彼の強引さに負ける形で何度か会っている内に、意外にも誠実な人なのかも知れないと認識を改めるようになって。

 自分みたいな売れ残りの非モテ女子にも優しくしてくれて、なおかつ自分の美貌をひけらかそうとするような態度も一切にじませない。

 絶対にモテるタイプの人だろうに、それを鼻にかけた態度を見せないところにも好感が持てた。

 何より、杏子に対して彼はいつもとても紳士的で、すごく優しくて……。恋人や奥さんがいるわけでもないと明言してくれたのも、杏子としては安心して一緒に出掛けることが出来る要素だったのだ。
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