あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「な、何なんですのっ!? 言いたいことがあるならさっさと言いなさいよ!」
周りが自分たちの動向に注目している状態というのが落ち着かなくなってきたんだろう。そもそも出だしが杏子への嫌がらせという意地悪な動機だ。根掘り葉掘り詮索されたら、良くない埃が出るのは自分たちの方だと、安井は直感的に理解しているに違いない。
一向に話を前に進めようとしない岳斗に、苛立ったように安井が語気を強めるさまを見て、岳斗は(この女、案外小者だな)と、声を上げて笑いたくなった。
(まぁ、よく吠える犬と言うのは往々にして弱いもんだからね)
そう考えると、顔を醜く歪ませた安井が滑稽にすら思えてくる。
「あ、笹尾さんっ!」
と、都合よくそんな安井の取り巻きの一人――杏子をつまずかせた女――が笹尾を見つけてこちらへ手招きしてくれて、岳斗としては正に渡りに船。
杏子が自分の背後で「岳斗さん……」とソワソワしているのを感じて、そちらへ対してはちょっぴり申し訳ない気持ちになる。
心の中で(もう少しだから辛抱してね)とつぶやくと、岳斗はさも今やっとお目当てのデータを見つけたという体で「あー、あった。これだぁ」と《《のほほん》》とつぶやいた。
周りが自分たちの動向に注目している状態というのが落ち着かなくなってきたんだろう。そもそも出だしが杏子への嫌がらせという意地悪な動機だ。根掘り葉掘り詮索されたら、良くない埃が出るのは自分たちの方だと、安井は直感的に理解しているに違いない。
一向に話を前に進めようとしない岳斗に、苛立ったように安井が語気を強めるさまを見て、岳斗は(この女、案外小者だな)と、声を上げて笑いたくなった。
(まぁ、よく吠える犬と言うのは往々にして弱いもんだからね)
そう考えると、顔を醜く歪ませた安井が滑稽にすら思えてくる。
「あ、笹尾さんっ!」
と、都合よくそんな安井の取り巻きの一人――杏子をつまずかせた女――が笹尾を見つけてこちらへ手招きしてくれて、岳斗としては正に渡りに船。
杏子が自分の背後で「岳斗さん……」とソワソワしているのを感じて、そちらへ対してはちょっぴり申し訳ない気持ちになる。
心の中で(もう少しだから辛抱してね)とつぶやくと、岳斗はさも今やっとお目当てのデータを見つけたという体で「あー、あった。これだぁ」と《《のほほん》》とつぶやいた。