あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
『私、大葉(たいよう)が思ってるよりずっと強いですよ?』

 大葉(たいよう)と付き合っていることを隠した状態で、彼が誰かほかの女性たちからアプローチされるのをモヤモヤしながら見つめるしか出来ない方がよっぽどつらい。

 そう話したら、大葉(たいよう)も納得してくれたのだ。

 結局そのあと土井社長の妹にあたる大葉(たいよう)のお母様――屋久蓑(やくみの)果恵(かえ)からも、杏子(あんず)への所業も踏まえたうえで、羽理(うり)大葉(むすこ)のことについて、兄である土井社長に「要らないことをしないの!」と物言いがついたらしい。

 大葉(たいよう)と羽理に謝罪するまでは、屋久蓑家(やくみのけ)――あの立派なご実家の方――への出入り禁止をくらってしまったらしい土井社長から今日彼の家へ呼ばれたのも、きっとそういう諸々に対する謝罪なのだと大葉(たいよう)から聞かされていた羽理だったのだけれど。

 羽理の中では『守って頂く必要はありません、私、大丈夫です』と伝えるだけだったはずが、まさか倍相(ばいしょう)課長の退職の話までセットになって出てくるとは思いもしなかった。

大葉(たいよう)が同じフロアからいなくなってしまうというだけでもホントは物凄く寂しいのに、倍相(ばいしょう)課長まで?)

 例え大葉(たいよう)はすぐそばにいてくれなくなったとしても、自分には同僚の法忍(ほうにん)仁子(じんこ)や、優しい上司の倍相(ばいしょう)課長がいてくれるから何とか頑張れる。何なら後輩ワンコの五代(ごだい)懇乃介(こんのすけ)も味方になってくれるだろう。

 そう自分の中で必死に折り合いを付けていた羽理としては、倍相(ばいしょう)岳斗(がくと)の【退職願】は正に青天(せいてん)霹靂(へきれき)だった。
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