あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「倍相くんの気持ちは固いの?」
「はい。何でも別の会社でやらなきゃいけないことが出来たらしいのです」
実際大葉が岳斗からこの書類を預かったのは、杏子が勤め先で酷い目に遭っているのを助けに行くために有給休暇を取りたいと言ってきた日の翌日だった。
思えば、杏子を守るために父親の威光を使わないといけないかもしれないと、力無く笑いながら岳斗は言ったのだ。
〝もしかしたら土恵を裏切ることになるかもしれない〟と。
大葉はそんな岳斗の言葉を否定したのだけれど、岳斗は翌日『やっぱり僕は裏切り者です』とどこか寂しそうに部長室の大葉を訪ねてきた。
『大葉さん、近々異動になるんですよね?』
荷物整理をしているところを見られては否定のしようもなくて黙っていたら、岳斗は肯定と受け止めたらしい。
『そんな時期に僕までとか。背反行為以外の何ものでもありませんよね。本当にすみません。……なるべくこうならないようにしたかったんですけど、やはり無理でした。申し訳ないんですが、折を見て大葉さんから土井社長へ渡していただけますか?』
そう言われて差し出された退職願を、もちろん大葉は跳ね返そうとしたのだけれど、岳斗は頑として意志を曲げようとはしなかった。
「はい。何でも別の会社でやらなきゃいけないことが出来たらしいのです」
実際大葉が岳斗からこの書類を預かったのは、杏子が勤め先で酷い目に遭っているのを助けに行くために有給休暇を取りたいと言ってきた日の翌日だった。
思えば、杏子を守るために父親の威光を使わないといけないかもしれないと、力無く笑いながら岳斗は言ったのだ。
〝もしかしたら土恵を裏切ることになるかもしれない〟と。
大葉はそんな岳斗の言葉を否定したのだけれど、岳斗は翌日『やっぱり僕は裏切り者です』とどこか寂しそうに部長室の大葉を訪ねてきた。
『大葉さん、近々異動になるんですよね?』
荷物整理をしているところを見られては否定のしようもなくて黙っていたら、岳斗は肯定と受け止めたらしい。
『そんな時期に僕までとか。背反行為以外の何ものでもありませんよね。本当にすみません。……なるべくこうならないようにしたかったんですけど、やはり無理でした。申し訳ないんですが、折を見て大葉さんから土井社長へ渡していただけますか?』
そう言われて差し出された退職願を、もちろん大葉は跳ね返そうとしたのだけれど、岳斗は頑として意志を曲げようとはしなかった。