深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
もちろん、スーツにも合う。いろんなコーディネートを想像するだけで、心が弾んだ。

「恭也、鏡で見たら?」
「そうだな」

全身が映る鏡は二か所にある。恭也は廊下に出て、玄関の方へと歩いていった。私はそれを追いかける。

鏡の前に立った恭也は、体を動かしながら全身のスタイルをチェックした。いろんな角度から確認して、満足げに微笑む。

「自分で言うのもあれだけど、似合うな」
「フフッ、そうでしょ?」
「さやかは意外にも俺のこと、わかってるよね」
「意外にも?」

意外にもとは、聞きずてならない。私は誰よりもわかっているつもりでいる。

ムッとした顔で、鏡の中にいる恭也を見た。彼は背後に立つ私の方に体を向けて、抱き寄せた。

私の頭を撫でながら、耳元で囁く。

「もしかして、怒ってる?」
「だって、意外だなんて言うから」
「ごめん、ちょっと恥ずかしくなってさ……さやかほど、俺のことをわかってくれる人はいないよ」
「そうでしょ? フフッ」

至近距離で笑い合い、どちらからともなくキスを交わす。

「さやか……」
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