深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
恭也は「は?」と目を丸くした。予想外の答えだっただろうか?

「どんなに反対されようとも、さやかと結婚して幸せになると話したよね? だから、反対されていることは問題にならないよ」
「私……考えたの。周りからの反対を押し切って結婚して、本当に幸せになれるのかなって」
「なれるよ。お互いが想い合っていれば、絶対大丈夫」
「でも、恭也が苦労すると思うの。それに、私も……」
「俺は苦労したとしても乗り越えてみせるよ。さやかが苦労しないよう、支える」

彼の言葉は力強かった。どんなに苦労しても、私を幸せへと導いてくれるように感じた。

彼を信じて、差し伸べている手を取りたい……でも、ダメだ。私は首を横に振った。

「さやか?」
「恭也のお母さんのことを聞いたの」
「誰から?」
「典子さん」
「は? 会ったの?」

恭也が留守の間に起こったことを隠さず話した上で、別れると決めた理由を伝えようと思っていた。

典子さんに言われたことを話すと、恭也は顔をしかめた。椅子の背もたれに体を預けて、腕組みをする。

「自分たちの最初の結婚が失敗だったから、俺たちも失敗する? とんでもない話だ」
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