可憐な花は黒魔導士に二度恋をする
 あなたの浮気調査をしていたら猫になっただけです!浮気を疑ってごめんなさいっ!と言いたいのに、にゃあにゃあとしか声が出ないリナリアは、ひとまず逃げようと机から飛び降りようとしたものの、それを察知したハインツにあえなく捕獲され、ぎゅっと羽交い絞めにされてしまった。

「おっと、逃がさないから」

 パチンと指を鳴らす音が聞こえたと思ったら、一瞬にして体が元に戻っていた。

「え……」
 驚いて目を見開いているハインツにどう弁明しようかとリナリアが口を開きかけた時だった。
 ノックとともに許可を得ないままドアが開き、フレッドの声が響く。

「ハインツ先輩!さっき魔法の暴発で周囲にいた数名が猫に変身しちゃったらしいです。もしかしてそのブサ猫……っ!!しっ、失礼しましたあぁぁっ!!」
 フレッドが一瞬にして真っ赤になり物凄い勢いで部屋を飛び出しドアを閉めた。

 無理もない、元の姿に戻ったリナリアがハインツの膝の上に跨って抱き合っているような体勢だったのだから。
 
「ごめんなさい。あのブサ猫、わたしだったんです。あははっ」
 しばしの沈黙の後、ようやくリナリアが口を開き乾いた笑いを漏らすと、ハインツは先ほどのフレッド並みに真っ赤になって膝に乗せたままになっているリナリアの肩に額を置いた。

「こちらこそ、申し訳ない。何度もブサイクと言ってしまって……というか、本人の前で俺はものすごく恥ずかしいことを言っていたような気がするんだが」

 密着している胸の鼓動が速いのは、どちらだろうか。二人ともかもしれない。

「いいえ、ハインツ様のお気持ちが聞けてとても嬉しかったです」
 そう言って笑うリナリアをハインツは腕に力を込めてぎゅうっと抱きしめたのだった。


「さてと、この部屋から出るにあたって、また変身した方が都合がいいと思うんだがどうする? フレッドには後でよーく口止めしておくから」

 いたずらっぽく笑うハインツにリナリアも笑顔で告げる。

「じゃあ、もう一度さっきのブサ猫で!」


【完】
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